貴重なブリキのおもちゃたち

「ブリキ」とは、薄い鉄板をスズでメッキしたものです。
加工しやすく、落としても壊れにくく、スズに毒性がないため、19世紀ころからヨーロッパで日用品に用いられ、やがておもちゃにも使われ始めました。
「ブリキのおもちゃ」の歴史は古く、19世紀半ばにドイツでつくられたのが始まりといわれています。
日本には明治初期に輸入されました。はじめは海外のおもちゃの模倣が多かったのですが、次第に日本独自の精巧なおもちゃがつくられるようになりました。
以後、大正・昭和と日本製のブリキのおもちゃは進歩し、世界のブリキ玩具王国となりました。
そして、その黄金期は戦後の時代です。持ち前の開発力と、手先の器用さで、世界で最も優れた製品がつくられ輸出されていきました。
戦後、日本経済復興の立役者であったブリキのおもちゃの輸出額を見ると、昭和23年(1948年)は3億2200万円だったのが昭和50年(1975年)には340億円にもなっています。
「昭和のおもちゃミュージアム」には、大正時代以降に製作された日本・ドイツ・アメリカ・イタリア等のブリキのロボット・バイク・車・飛行機・船やキャラクター物等を約800点展示しています。

大正時代〜昭和初期のブリキのおもちゃ

大正時代〜昭和初期のブリキのおもちゃには、宝物のような時間が詰まっています。

世界で初めてつくられたブリキのロボット「リリパット

1935年に小菅氏のデザインにより関東州にあった玩具工房KT社で開発されたものです。
戦禍によりほぼ消失したといわれており、この「リリパット」は、現在世界で残っているのが30体くらいだと思われます。

世界初のブリキロボット「リリパット」

MADE IN OCCUPIED JAPANのおもちゃ

第二次世界大戦に敗れた日本が、メイド・イン・オキュパイド・ジャパン(占領下の日本製)という刻印を押され、外貨獲得のためにアメリカに輸出したブリキのおもちゃ。
これにより「小麦粉」「粉ミルク」等を輸入でき、日本の子供たちが救われました。

1950年代・60年代のおもちゃ

このころになると、名作といわれるおもちゃがたくさんつくられました。